海外の空港に到着し、現地の格安SIMに入れ替えて「これでネットも完璧!」と安堵した数時間後、思わぬ落とし穴に直面する旅行者が急増しています。配車アプリ「Uber」の登録時や、現地の鉄道サイトでのチケット購入時、あるいはディズニーランド等の事前予約決済時に、クレジットカード会社から「本人確認のためのSMS(ショートメッセージ)を送信しました」という画面が表示されるのです。
しかし、スマホに入っているのは現地のSIMカード。日本の電話番号宛に送られた認証コードは、永遠に届きません。認証ができなければ決済は完了せず、目の前のチケットもタクシーも手に入らない——。これが現代の「SMS認証の罠」です。本記事では、海外での高額なローミング請求を回避しつつ、「日本の電話番号(SMS)」を生かしたまま、データ通信は現地の格安回線を使うという、スマホの正しい設定と運用方法を徹底解説します。この設定を知っているか否かで、旅の快適さと安心感は段違いになります。
SMSを受け取りながら、安くネットを使う3つの防衛策
「日本の番号」を死守する方法は、スマホの機種や契約しているキャリアによって3つのアプローチがあります。
最強の運用「デュアルSIM」設定(eSIM活用)

物理SIMスロット(またはeSIM)に「日本の契約」を残したまま、空いている枠に「現地の旅行用eSIM」を追加し、役割分担をさせます。
設定手順
- 渡航前に、日本の旅行用eSIMアプリ(trifa や Ubigi など)や、Amazonで格安eSIMを購入し、スマホに追加しておく。
- 現地到着後、設定画面で「モバイルデータ通信」を【旅行用eSIM】に指定する。
- 「デフォルトの音声回線」を【日本のSIM】に指定する。
- 【最重要】日本のSIMの「データローミング」をOFF、旅行用eSIMはONにする。
メリット
- 日本の番号でSMSをリアルタイムに受信できる(受信料は世界中ほぼ無料)。
- データ通信は現地の格安レート(1GB数百円〜)で使えるためコスパが良い。
デメリット
- SIMロック解除済み、かつeSIM対応のスマホが必要。
- 設定項目が多いため、機械操作が苦手な人にはハードルが高い。
「海外ローミング無料」のキャリアを使う
そもそも「SIMを入れ替える」「設定を変える」という面倒な作業自体をなくす、最もスマートな方法です。追加料金なしで、日本での契約データ容量をそのまま海外でも使えるキャリア(プラン)を使用します。代表格は「ahamo」や「楽天モバイル」です。
手順
- メイン回線、またはサブ回線として対象キャリア(ahamo、楽天モバイル等)を契約しておく。
- 現地到着後、スマホの設定で「データローミング」をONにする。
- (楽天モバイルの場合)通話アプリ「Rakuten Link」の設定を済ませておく。
メリット
- いつものスマホをそのまま持って行くだけで、ネットも電話もSMSも日本と同じように使える。
- SIMカードの購入や入れ替えの手間が一切ない。
デメリット
- 使用できるデータ容量に上限がある(例:ahamoは月20GB、楽天は海外月2GBまで)。
- 現地の提携回線エリア外だと繋がらない場合がある。
レンタルWi-Fi +「データ通信OFF」の守備表示
会社の携帯や、SIMロックがかかった古いスマホ、あるいはポケットWi-Fi派の人のための防御策です。ネット接続はレンタルしたWi-Fiルーターに任せ、スマホ本体は「通話・SMSの電波」だけを拾う状態にします。データ通信を遮断することで、高額請求(パケ死)を防ぎつつSMSだけ受信します。
手順
- 現地到着後、「機内モード」を解除する。
- 設定画面で「モバイルデータ通信」をOFFにする(※これが最重要)。
- 念のため「データローミング」もOFFになっているか確認する。
- Wi-Fiルーターに接続してネットを使う。
メリット
- どんな古い機種やガラケーでもSMSを受信できる。
- Wi-Fiルーターさえあれば、複数人でネット環境をシェアできる。
デメリット
- 設定をミスして「モバイルデータ通信」がONになっていると、海外パケット代が発生するリスクがある。
- Wi-Fiルーターという荷物が増え、充電管理の手間がかかる。
あなたに合う「通信の最適解」はどれ?
「自分はどのパターンを選べばいいのか?」迷う読者のために、タイプ別のおすすめを考察します。
パターンA:iPhoneユーザーなど「eSIM対応スマホ」の人
→ 【手法1:デュアルSIM】が鉄板です。
- 理由: AiraloやUbigiなどの「旅行用eSIMアプリ」を使えば、現地に着いてからアプリ操作だけでデータ回線を追加できます。 日本の主回線を「楽天モバイル」や「povo2.0(基本料0円)」にしておけば、維持費をかけずに「SMS受信専用機」として日本の番号を生かし続けられます。 「データは現地SIMで安く、SMSは日本のSIMで受信(無料)」。これが最もコスパと利便性のバランスが良い運用です。
パターンB:頻繁に海外に行く、または設定が面倒な人
→ 【手法2:ahamo / 楽天モバイル】へメイン回線を移行しましょう。
- 理由: 現地に着くたびにSIMを買ったり設定を変えたりするのはストレスです。ahamoなら、着陸して「機内モード」を解除するだけで、日本にいる時と同じようにLINEもGoogleマップも繋がります。 SMS認証も当然届きます。短期旅行(数日〜1週間程度)なら、この快適さは一度味わうと戻れません。
パターンC:会社の携帯や、SIMロックがかかった古いスマホの人
→ 【ポケットWi-Fi】+【機内モード解除】の組み合わせで対応。
- 理由: SIMの追加や変更ができない場合、ネットはレンタルWi-Fiで確保します。 重要なのはここからです。「機内モード」を解除し、「モバイルデータ通信」をOFFにしてください。これで「通話・SMS」の電波だけを拾う状態になります。 この状態なら、ネットはWi-Fi経由で使いつつ、SMS認証だけはキャリアの電波で受信(無料)できます。 ※注意:データローミングを確実にOFFにしないと、高額請求(パケ死)のリスクがあります。
まとめ
「たかが電話番号、LINEがあれば連絡取れるし大丈夫でしょ?」 そう思って日本のSIMカードを抜いてしまうのは、現代の旅行においては「身分証を金庫にしまって外出する」ようなものです。
クレジットカードの不正利用防止システムが強化されている今、SMS認証は避けて通れません。
- iPhoneなら「デュアルSIM」設定をマスターする。
- 面倒なら「ahamo」か「楽天」にする。
- SIMを抜くなら、クレカの認証先を「メール」に変えておく。
このいずれかの対策をしておけば、旅先で「決済できない!」と焦り、ホテルのロビーで絶望することはなくなります。日本の番号を賢く死守して、ストレスフリーな旅を楽しんでください。


